事務事業評価の内容 令和6年 施策03 【学校教育】体力向上事業費

事務事業評価

体力向上事業費

今回も教育関係事業のうちで、体育に関する事業、体力向上事業費です。令和2年度から開始された事業で、尼崎市のホームページでは「あまっ子体力向上プラン」としてその取り組みが公開されています。

前回学校体育関係事業費の投稿で筆者は「市の職員や教員たちが、年々低下していく子供たちの運動能力を理解しながらも、子供たちの能力改善の為に協働・協力する意思がないことが表れている」と書きましたが、今回の事業と並べてみたときに、その思いが確信に変わりました。

やはり今のままでは尼崎市の義務教育ではもう、子供たちの可能性を伸ばすことは難しいのだと思い知らされました。なぜそう確信したのか、見てきたいと思います。 

県の調査報告を受けて開始した?

まずこの事業は令和2年度からの開始ということと、それに続く令和4年3月に前回投稿にあった兵庫県教育委員会の調査報告書である「兵庫県児童生徒体力・運動能力調査報告書」を思い出して頂きたいです。この報告書では令和2年度からの調査結果と比較する形で、作成されています。

これは今回の事業がその調査結果を受けて、開始されたことを表しています。

つまり尼崎市は今まで実施していた体育関連事業について、まったく効果がなかったと認識したのは令和2年度ということです。

前回投稿の学校体育関係事業費昭和29年度開始です。それなのに令和2年度まで自身が実施していた事業の効果を、検証すらしていなかったということです。

事業の実施内容には、各学校に運動指導員を派遣して、授業補助や、指導者研修を実施したとあります。

効果がないのに続ける事業

この事業の事業成果には、中学校では兵庫県の平均を下回る運動能力の成績結果だったとあります。しかし小学校では、その平均は上回ったとのことで、実施された事業内容には一定の効果があったと書かれています。

しかし令和2年度に「効果がない」と分かったハズの学校体育関係事業費は今後も継続するとしています。そして新たに今回の体力向上事業費を令和2年度から開始し、今後もその効果から事業を継続していくとあります。

このことからは今までの事業に対する、反省や検討の意思はまったく見られません

まさに目指す人物像にある「失敗してもそれを乗り越え、粘り強くチャレンジする」意思の表れともいえますが・・・

増加する事業費、そして効果がない事業と同額の事業費

そして実際の事業費です。この事業でも年々事業費は増加しています。それは当然で、指導員の派遣によって子供たちの運動能力を向上させている以上、更にその効果を上げるには、指導員の増員が必要となるからです。それはつまり、尼崎市が行ってきた、教員指導能力の向上事業も効果がないと認めることでもあります。

何より冒頭で書いた子供たちの能力改善の為に協働・協力する意思がないと確信に至ったのは

この事業費と前回の学校体育関係事業費の事業費を見比べたときです。

前回の学校体育関係事業費でも書きましたが、この事業の効果がないことはすでに県の報告書でも明らかです。なのに今回の体力向上事業費ほぼ同じ金額の事業費を費やしている。

これは子供たちの体力・運動能力向上に効果があると、自身で認めた事業に税金を集中させることよりも、慣例として継続している事業を優先した。ということです。

つまり尼崎市の教育委員会や行政関係者が、子供たちのことより、役所の倫理(慣例重視・前例踏襲)を優先したことの証明です。

このような教育委員会や行政関係者の態度では、子供たちの可能性を伸ばすことは難しいですし、何より目指す人物像には育っていくことはできないと思います。

下記は前回投稿した学校体育関係事業費の事業費。今回の体力向上事業費と、令和3年度から見ても、ほぼ同じ金額の税金が使われている。