事務事業評価の内容 令和6年 施策03 【学校教育】尼崎市の奨学金事業3件

事務事業評価

尼崎市の奨学金事業3件

今回は尼崎市の大学生・大学院生を対象にした、奨学金事業についてです。久々に給食以外の教育らしい事業です。

尼崎市には大学生・大学院生を対象にした、奨学金制度が3件あります。2件が大学生を、残りの1件が大学院生を対象にした奨学金です。ここでは3件まとめて見ていきます。

神崎製紙株式会社(現 王子イメージングメディア株式会社)の資金により創設された、大学生対象の
神崎製紙育英資金奨学生 昭和34年度開始

尼崎信用金庫及び一般社団法人尼信地域振興財団の資金による、主に理工系学部在籍の大学生対象の           尼崎市「あましん」育英資金奨学生 令和4年度開始

澤水守雄氏個人による、大学院生を対象にした尼崎市澤水育英資金奨学生 平成5年度開始

それぞれ年間36万円が対象の学生、または生計者に支給される制度です。支給期間はいずれも入学した大学・大学院の最短の修業年限までとなっています。

個人的には卒業後を含めた減税期間を、対象の奨学生に設けることで、優秀な人間を尼崎市内に囲い込むことも検討するべきでは、と思いました。

また、何より問題だと思うのは、以前投稿した朝鮮人学校就学助成金と比較した場合です。この助成金事業では、尼崎市在住の朝鮮人学生に対して、一律に助成金が支給されているのに、この奨学金事業では、2回の選考試験があり、しかも対象者は5~2名しかいないという、あまりにも不公平といえる状態であることです。

年36万円は多いほう

先ほど書いた通り、この奨学金を貰うためには、事前に選考試験があり、1次試験が大学生は学科及び作文、大学院生は小論文の作成、2次試験が面接試験のようです。尼崎市 大学生・大学院生の奨学金について

対象人数は大学生が年5人程度、大学院生は2人程度で、各奨学金制度を併用して受給することはできません。この3件の奨学金制度ですが、他の市と比較した場合でも、比較的手厚い奨学金制度といえます。

尼崎市の隣、伊丹市の場合は平成30年度に奨学金制度は廃止されています。(ただし、奨学金返済補助事業はおこなっている)

  伊丹市 奨学金制度について

また、神戸市では月額15,000円~20,000円が支給される制度がありますが、対象は年人程度のようです。 神戸市大学奨学金のご案内

ただ、同じ尼崎市が実施している朝鮮人学校就学助成金では学生一人当たり年8,5000円の支給です。確かに金額は少ないですが、こちらは選考試験はなく、朝鮮人というだけで、一律に支給されており、事務事業評価からは今後もっと増額したいと、市側は考えているようです。

多文化共生社会の実現を妨げている

この奨学金制度ですが、事業としての目標指標はいずれも、「対象者の選考試験での成績を上げること」を目標にしています。

そうではなく、本来の目的である、優秀な多くの学生に、もっと奨学金を活用してもらうことを目標にするべきでしょう。ほかの事業でやっているような、啓発・推進イベントや献立コンクールをやめて対象人数を増やすことをすべきです。

現状の制度では、せっかく奨学金を貰うような優秀な人材になる可能性が高い学生を、お金だけ渡して、あとは他府県に放出しているだけの制度とも言えます。

何より、先ほども書きましたが、朝鮮人学校就学助成金と比較した場合、選考試験があるのと、対象人数が少なすぎることは、「在日朝鮮人の特権だ!」との非難を否定できない状態と思います。後で表示しますが、一人当たりの支給金額が少ないことを別にして、事業費で比べた場合でも、大学院生への奨学金よりも、朝鮮人学校就学助成金で支給する金額の方が2倍以上多いこのが問題だと思います。

このような制度上の格差、を放置することは在日朝鮮人の方々にとっても、よくない状態ですし、市が目指す多文化共生社会の実現を妨げている、ともいえると思います。

卒業後も減税期間を設けては

この事業については、冒頭でも少し書いたように、奨学金対象者の人数を増やすことはもちろん実施するべきでしょうが、それ以上に、対象学生・院生の卒業後を見越して、例えば、この奨学金受給をした学生・院生は、卒業後も尼崎市内に在籍するならば、10年間住民税を減税するような制度もあっていいと思います。

さらに言えば、市内に在籍が無くても、勤務地が尼崎市内であれば減税の対象にする、などの制度も設けてもいいと思います。

こうすることで、将来高所得者になる可能性が高く、市の経済発展に寄与する可能性の高い人材(いわゆる高度人材)を、若い段階から囲い込むことが可能だと思うからです。またこの減税の対象になった学生たちが、将来に子育てをして子供たちにも、この諸学金や減税制度を活用させよう、と考えれば、親子世代に渡って、このような高度人材を尼崎市内に留めることも可能とも思います。

また朝鮮人の学生に対しても、現状のような支給金制度ではなく、減税期間を設けることで、同じように、尼崎市内や近畿圏・日本全体の経済発展に寄与してもらう、という考えで制度を再構築するのはどうでしょうか。今のような一方的にお金を配る制度よりは、多文化共生に近づくのではないでしょうか。

多少減税しても、長い目で見れば、このような高度人材や、市内で消費する若者が増えることで、尼崎市内で高額消費(土地・不動産・高級車等の購入)をするはずですから、市内の経済活性化によって、減税以上の税収が見込めるハズです。損して得とれの精神で、こんな制度はどうでしょう

下記朝鮮人学校就学助成金の事業費。事務事業評価では、補助金の名目で記載されている。