不登校対策事業費

今回は学校の不登校生徒を対象にした事業、不登校対策事業費についてです。平成3年度から開始されており、事業内容からは、
①不登校対策推進
②ハートフルフレンド(支援員)派遣
③こども自立支援
④不登校支援団体ネットワーク
⑤不登校特例校調査研究
の5つの取組をこの事業費で行っているとあります。
義務教育とは、子供たちに勉強をさせる、大人に対しての義務であり、決して子供たちが無理やり義務で勉強をさせられることではありません。
本来は、勉強したいと思う子供たちが、気持ちよく勉強できる環境を整備することこそが必要です。しかし様々な原因で、学校という箱に来れない・合わない子供たちがいるのも事実です。それらを是正・対応するための、この事業費とは思いますが、事業費の額を見ると、尼崎人権啓発協会補助金や人権啓発活動事業費・多文化共生社会推進事業費と比較して、随分と少ない費用で行われていることがわかります。
行政組織に限らず、どんな組織でも、その組織が考えている意思は、人事と予算に現れるものです。
今回の事業費からも、やはり尼崎市の行政側や議会も、口では「子供たちを~」と言いながら、子供のことなど、真剣に考えていないのだということが、証明されたと思います。

5つの取組は5つの事業費に変える
先ほども書いた通り、この事業では5つの取組を行っています。恐らくですが、今後はこの5つの取組毎に、5つの事業に再編して、また別々の事業に組み込むことで、今後の事業費の拡大に向けての足掛かりにしたいと、尼崎市の行政側は考えているのでしょう。
先ほどの事業費の比較からも、行政側も本気で不登校生をなくしていく意思はないでしょう。

目標からも解決の意思はない
この事業の目標値は、不登校生のゼロではなく、割合を低くしていくとあります。今後はこの割合が少なくならないので、対策として、新たな事業費を作成(事業費を5つに分ける)したり、別の事業費に5つの事業を振り分ける、などの見栄えのする対策を実施したことにして、全体として事業費(税金)だけが増えて、不登校対策としては何も進まない。そんな未来が予想できる事業成果です。

交付金は目的外使用、ボランティア活動に謝礼金
この事業にあった「ハートフルフレンド」についてですが、尼崎市の募集ページを見ると、ボランティアの文字が見えます。ハートフルフレンド(不登校支援員)について
ボランティアとは本来は無報酬の慈善活動を意味する言葉ですが、尼崎市ではボランティアに謝礼を払っているとのことです。であるならば、ちゃんと正規の雇用を行って対応すべきでしょうが、そのような批判が今後来ることを見越して、それさえも事業費拡大への足掛かりにしているのでしょう。
またこの事業費には、文部科学省がら、教育支援体制整備補助金という補助金が入っているとあります。しかしこの補助金ですが、文部科学省が公表している教育支援体制整備補助金の交付要綱には下記のように、交付の目的が記載されています。しかし今回の事業費ではその目的とは異なった内容に使用されており、この事務事業評価からは、交付金の目的外使用を行っているのではないかと疑念に思ってしまいました。

いずれしても、本気で不登校対策を実施するつもりがないのであれば、このような見せかけの事業は一旦停止して、先ほど比較した事業費と合わせて、見直しを行うべきです。あくまでも尼崎市が目指すべき人物像に、子供たちを育てたいと、本気で考えているのであれば。


