特別支援教育サポートシステム事業費

今回も学校教育関係の事業費についてです。特別支援教育サポートシステム事業費は開始年度の記載がありませんが、事業費の項目からみるに令和3年度以前から開始されたようです。
事業目的は、尼崎市立学園に特別支援ボランティアやプール介助員・看護師を配置・派遣して、幼児児童生徒の安全や・学習の補助を行い、保護者の負担軽減を図るとあります。
しかし、成果には有償ボランティアであり、ボランティア保険も尼崎市の教育委員会が負担するといいながら、実施には市民税から支払われているという、一種の有利誤認表示が行われているのが実態です。
そしてこの事業費でもそうですが、前回と同様に国からの補助金である、教育支援体制整備事業費補助金が使用されています。この補助金は本来「生活者としての外国人」の日本語学習機会を確保するという目的で、交付されたハズの補助金です。
そして肝心な事業成果では、登録したボランティアの数を記載しており、このサポートシステムが有効に機能しているのかどうか、まったく判断できない情報を公開している状態です。

特別支援教育≪有償≫ボランティア
この事業はボランティアの派遣を行っていると書きましたが、尼崎市のホームページではこの特別支援教育ボランティアを募集しています。
ボランティアとは本来無償の活動を表しますが、この事業では正確には「有償」ボランティアであり、活動1回当り、千円が支給されているようです。またボランティア保険の費用は尼崎市教育委員会が負担すると記載されておりますが、事業費を確認するときっちり税金が使われており、完全に有利誤認表示と言えます。これで子供たちへのための教育というのですから、お笑いですね。
いや、ある意味大人は汚いという教育ということでしょうか。教育という分野も捉え方によってさまざまですので、難しいですね。

登録者より、サポートの効果を
事業成果には、この「有償」ボランティアの登録が目標の292%になりました、と高らかに記載しています。またプール介助員や看護師との連携・介護タクシーの利用も充実を図りますともあります。
しかし、本当にこのサポートシステムが有効に機能したというのであれば、少なくとも事業開始前後での就職率・進学率・体育テストの成績等の改善データを提示するべきでではないでしょうか。
目的には「保護者の負担軽減を図る」とあることから、保護者からの感想や評価がわかるものでもいいと思います。この事業成果の内容からでは、ただもっと事業費を増額したいんだ、としか思えません。

有利誤認表示を正せ
本来であれば、この事業の効果と最終目標を明らかにして、今のような事業費の拡大に歯止めをかけるべきでしょうが、その前にまず、尼崎市のホームページにある特別支援教育ボランティアの募集べージの有利誤認表示を正しい表示にするべきです。
今のボランティア保険に関する記載の後に「ただし、それは皆様の税金です」と記載するだけでいいのです。
少なくとも教育委員会が負担すると記載している以上、子供たちへの教育上不適切な状態にしていることは非常に問題があります。ただし、これも悪い大人を知るための教育だとするならば、そのことを教育委員会として正式に公開するべきでしょうが・・・
そしてまた何回目かわからない指摘ですが、この事業費に使われている補助金「教育支援体制整備事業費補助金」の目的外使用についてもです。ここでいうボランティアの対象が外国人を含めているのかも知れませんが、もしそうであるとしても、1回千円のような待遇ではなく、正式な学校用務員としての処遇にして、教育現場の体制を強化するべきでしょう。
看護師の方も、医療機関との擦り合わせが必要とは思いますが、看護師兼学校用務員という待遇を用意することで、派遣ではなく、普段の職務として、子供たちへ関われる体制にすることも検討すべきではないでしょうか。
そしてこのサポートシステムが目指す目標を明らかにするべきです。先ほども書いたような就職率・進学率・体育テストの成績等の改善データのほかにも、生徒の健康状態の改善データや、子供の医療費の推移なども、この事業の効果を図る上では、有効な指標と思います。
しかし、尼崎市が掲げる特別教育支援の在り方からは、これらの具体的な数値目標や体制作りの形が見えてこない状態ですので、そこから根本的な見直しが必要でしょう。
尼崎市 インクルーシブ教育システム構築のための 特別支援教育のあり方について(基本方針)



