事務事業評価の内容 令和6年 施策03 【学校教育】学校体育関係事業費

事務事業評価

学校体育関係事業費

今回は教育関係事業の中の、体育に関係した事業です。昭和29年度から実施されている学校体育関連事業費です。この事業費は尼崎市内の公立学校(小・中・高)が合同で行う、体育大会の事業費になっています。内容からは、その実施目的を達成する為には効果がなく、ただ慣例に従って毎年行われている儀式のような事業であることがわかります。

学校体育の振興には効果なし

この事業目的は、児童生徒の体力・運動能力の向上を図るとともに、教員の指導力を高め、学校体育の振興を図るとされているものの、肝心の児童生徒の体力・運動能力は右肩下がりとの結果がでています。

下記は兵庫県教育委員会が調査・集計した資料です。
  令和3年度 兵庫県児童生徒体力・運動能力調査報告書 

この資料からは兵庫県内全体でも児童生徒の体力・運動能力は年々低下していることが示されています。なによりこの資料では「体力アップスクール被表彰校」という項目があり、これは平成25年度から兵庫県教育委員会が体育・スポーツ活動の積極的かつ特色ある優れた実践を行っている学校を表彰することにより、体力向上に向けた取組意識の高揚を図ることを目的に設定したものです。

この体力アップスクール被表彰校には尼崎市からは平成25年度から見ても2校しか対象になっていないことが記されています。

これはこの事業が昭和29年度から開始しされていることを考えると、児童生徒を指導する立場の教員の能力向上にも、効果がなかったといえるでしょう。

つまりまったく事業目的の達成には効果がなかったことを証明する結果といえると思います。

効果がないのに続けるのは慣例行事だから

効果がないと証明されたこの事業ですが、ただ参加校が目標指標より少なかったとして、事業継続するとあります。参加校が増えたり、大会参加選手が増えたからと言って、尼崎市内の児童生徒全体の体力・運動能力向上には効果がないことは想像できます。

なぜならこのような体育大会へ参加するような児童生徒たちは、そもそもが平均的な児童生徒たちに比べれば、「上澄み」の能力をもった子供たちだからです。そのような子供たちを対象にしたとしても、平均的な児童生徒の能力が高まることはないからです。

効果がない事業をただ続けたいのは、明らかに慣例行事化した事業であるためといえます。

そして増える事業費

そしてこの事業でも『目標が達成できないかったから、もっと事業を拡大しよう』という意思が働いており、事業費は年々増え続けていることがわかります。

しかし先ほども書いたとおり、子供たちの運動能力は年々低下していく一方です。それらを改善させる取り組みも、うまくいっていない状況が調査結果からも明らかです。

尼崎市が掲げる目指す人物像には「一人ひとりの個性・能力を大切にして、お互いに協働・協力することができる人」を目指すとあります。

この事業からは市の職員や教員たちが、年々低下していく子供たちの運動能力を理解しながらも、子供たちの能力改善の為に協働・協力する意思がないことが表れていると思います。