事務事業評価の内容 令和6年 施策03 【学校教育】児童生徒文化充実支援事業費

事務事業評価

児童生徒文化充実支援事業費

今回も教育関連事業です。平成15年度からの事業で児童生徒文化充実支援事業費です。事業目的には児童生徒の創作や発表に対する意欲を高めて、教育活動の充実を図るとあります。確かに著者自身も小学生時代は作品の発表会等で展示された経験がありますし、そのような創作活動に意欲的な子供たちのためには必要な事業ではあると理解できます。ただこの事業も前回の令和6年度 施策03 学校教育 あまっ子ステップ・アップ調査事業費で指摘したとおり、目的が見えてこない事業の内容であり、もしも展示会や発表会を拡大していけば無限に事業費が拡大していくことは簡単に予測できる内容です。

目的は研究資料集めか?冊子作りか?

この事業内容を見ると、なぜか目的に記載してある『児童生徒の創作や発表に対する意欲を高めて、教育活動の充実を図る』と違った、教科等研究会の実践的な取組みを支援するとなっています。さらにその下では『効果的な活用について研究』や『教材の開発』・『活動の成果と課題を冊子等に』の文言が並びます。結局目的は研究資料集めや冊子作りをすることなのでしょうか?

展示会の来場者数を目標!?

さらに目標指標では児童生徒の展示会等の来場者数を目標値にしています。

繰り返しますが、事業目的には児童生徒の創作や発表に対する意欲を高めて、教育活動の充実を図るとあります。展示会の来場者数からどのようにして児童生徒の創作や発表に対する意欲が高まったと評価するのでしょうか。

明らかに来場者数が増える⇒より大きな会場が必要になる⇒もっと事業費を増やそう

このような意識がこの事業を作成した市職員に働いているのだと思います。

目的が不明確では予算は無限に必要になる

上述したようにこの事業も児童生徒のためと言いながら、結局は事業費の拡大を目的にしており、最終的には市の職員や市の関係団体等に税金をばらまくことになります。たちの悪いことにこれらの行動を担当している職員や現場の教職員・関係団体職員たちも全くの善意で行ってしまえることです。これは組織としてよく陥りやすい問題ですが、各部門や各担当の最適解が必ずしも全体の最適解にはならないことがあるということです。

わかりやすく言い換えれば、あるプロ野球球団に所属する大エースが自身の晩年にあと数勝すれば200勝に到達する状況であったとします。当然大エースやチームメイト・ファンもそれを望んでいるでしょう。しかし晩年の大エースは一軍で戦える力は衰えてきている。しかもチームは優勝がかかった試合を戦っていて、監督やコーチ陣は若手や中堅選手を使いたいと考えている。

この状況では大エースの最適解は自分が登板して勝つことですが、チームの最適解としては力のある若手選手や今の主力である中堅選手たちを使うこととなります。

この事業の場合でいえば、市の職員や関係団体職員は何とかして来場者数を増やすことを最適解として行動していくでしょう。ただそれがこの事業目的にある児童生徒の創作や発表に対する意欲を高めて、教育活動の充実を図ることには必ずしも繋がらないということになります。

目的が不明確では予算は無限に必要になるつまり、税金が今後も無限必要になるということです。現にこの事業費を見ると年々費用が大きくなっているのがわかります。

このような事業は一旦中止して、再度目的を見直すことから始めるべきです