多文化共生支援員派遣事業費

今回は学校関係の事業費である、多文化共生支援員派遣事業費についてです。平成9年度から開始された事業で、外国人の幼児児童生徒が在籍する学校・園に、母国語が理解できる人員を派遣して、学習面や生活面の補助を行っているとあります。
以前投稿しましたが、尼崎市では多文化共生社会推進指針を作成して、今後も増えていく外国人労働者とその家族、そして日本国籍を取得する、または取得予定の外国人に対して、市としての方針を一応は作成しています。
ただ、今回の事業内容をみて個人的に思うのは、政府の外国人政策が定まらない中で、市区町村レベルにおいては、やはり場当たり的な対応をしなければならず、政治の決断が問われる状況になっているという認識です。
それは先ほどの尼崎市の指針にも表れており、指針の期間は10年間としており、柔軟に見直す、とも書かれていることからも、伺うことができます。

尼崎市としてはどうするか?
日本語がまだおぼつかい子供たちに、支援員が寄り添うこと自体は賛成ですが、尼崎市としては彼らをどうするのかを明確にしなければいけないと思います。大きく分ければ下記の3件に分類して対応することになるでしょう。
- いずれ日本国籍を取得してもらい、尼崎市民として活躍できるよう日本人として教育する。
- 日本国籍は取得せず、母国で将来要職についてもらうことを前提に、親日派として教育する
- 日本国籍は取得せず、将来母国へ帰ることを前提に、使い捨ての労働者として、事務的な日本語が理解できる段階まで教育する
個人的は、1番目と2番目を目指してもらいたいとは思いますが、今後事業費の増加も見込まれるでしょうから、どこかで線引きは必要と思います。

尼崎市の指針には、「共生」しかない
前項でも書きましたが、尼崎市が作成した多文化共生社会推進指針には、現状と課題を表記しただけで、肝心な「尼崎市として、外国人をどうしたいか」が書かれている箇所はなく、ただただ「共生」の言葉だけが踊っている状態です。
多文化共生社会推進事業費や朝鮮人学校就学助成金そして、前回の大学生奨学金にも関係する話ですが、政治的な決断、つまりは「どうするか、どうしたいか」がなければ、今回のような、混乱する行政や学校現場に対して、場当たり的な事業費を積み上げていくことになります。

謝礼よりも、優遇税制や就労支援
今回の事業費にある、多文化共生支援員へは「謝礼」という形で給与を払っているようです。しかしこれ自体ももったいないもので、前項に書いたような市としての明確な指針があれば、将来のことを見越して、支援員への優遇税制や就労支援・仕事の斡旋などを行うことで、もっと多くの優秀な人員を、今よりも安い事業費で、尼崎市内に呼び込む、そのきっかけにも繋がる可能性があると思います。
これもすべて、「どうするか、どうしたいか」の政治の決断が試されているとも言えます。


