事務事業評価の内容 令和6年 施策03 【学校教育】コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進事業費

事務事業評価

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進事業費

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進事業費は令和4年度から開始された事業です。

このコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は文部科学省が推進しているものであり、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、まずは保護者や地域住民との情報や課題を共有することから始めることを目的にしているとあります。

 文部科学省 コミュニティ・スクール

 コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)推進プラン

令和2年度 コミュニティ・スクールのつくり方

ただ、結局この学校運営協議会は、学校関係者以外(保護者・地域住民)から見ると、学校と市の教育員会へ意見を言うだけの場であり、協議会の委員に任命されるものは、教育委員会規則で定めるとあり、「一定の方向性を決定できる程度の人数が必要であり、学校(校長)とともに行動していける委員を選定することが重要です。」と上述の”つくり方”には記載されています。

ことことから、個人的にな予想としては、この学校運営協議会の運営が、本当に学校現場の改善や子供たちの学習環境の改善に役立つのかは、疑問に思います。

教職員が求めたのは、

この事業の目的にある、「地域とともにある学校づくり」ですが、皮肉にも教職員が求めたのは、この協議会の設置ではなく、教員増・勤務環境改善・行事の見直しでした。

 教職員研修事業費

また学校運営協議会の”つくり方”には、教職員の任用についての項目があり、各学校の校長は、協議会からの意見を尊重するよう努めることが求められますが、教職員の任命権者(都道府県・政令市)の任命権の行使そのものを拘束するものではありません。また、校長の意見具申権そのものに変更が生じるものではありません。さらに、どのような事項について意見の対象とするか、教育委員会規則で定めることができるとあります。

例えるなら、保護者や地域の住民が「あの先生は素晴らしいから、この学校にずっといてほしい」と願っても、学校運営協議会は、教育委員会の決定には逆らえないつくりになっているということです。

学校運営協議会に生徒は入れない

また個人的に疑問に思ったのが、この学校運営協議会に生徒が入れないことです。

民主主義を掲げる我が国の学校現場で、合議の場であるハズの学校運営協議会に生徒が入れない、もしくは卒業して間がない元生徒が、協議会委員になれないのは問題ではないでしょうか?

確かに”協議会の委員に任命されるものは、教育委員会規則で定める”とありますので、今後に尼崎市教育委員会や兵庫県教育委員会が、委員に生徒や元生徒を含めるよう規則を定めるかも知れません。

しかし現状の公開情報からでは、そのような措置が取られるのかどうか、まったくわかりませんでした。

ただ少なくとも尼崎市では、目指す人物像に「主体的に地域社会に関れる人」を目指すとあることから、ぜひ積極的に、生徒の協議会委員任命を規則に盛り込んでほしいと思います。

人件費から見る、教員の負担増

この事業費の内容を見ると、コミュニティ・スクール(学校運営協議会)の設置学校が増えるにつれて、人件費が増加していることがわかります。これだけで単純に教員の負担が増えたとは、決定できませんが、確実に景況はあったと思われます。

先ほど述べたように、現場の教員が求めたのは、人員の増加と、職場環境の改善・行事の見直しでした。これの要求には、単純に人員の増加で対応できる問題だとは思いますが、果たして本当に、コミュニティ・スクール(学校運営協議会)が、学校現場の改善や子供たちの学習環境の改善に役立つのかは疑問ですが、まだ始まったばかりですので注意してみていきたいと思います。